このたび，2023年11月9日（木）～11日（土）の3日間，東京都江東区のホテルイースト21東京にて，第61回日本人工臓器学会大会を開催させていただくこととなり，「ニューノーマルにおける人工臓器」をテーマとし，鋭意準備を進めております．

　コロナ禍のために私たちの社会は大きく変容を余儀なくされ，おそらくその終息後も完全に元には戻らないと予想されています．一方，超高齢社会における医療の持続可能性の確保といったコロナ禍以前からの課題も今後は顕在化し，医療機器開発とそれを支える科学技術について，中長期の展望の下に着実な歩みを開始する時です．実はそこでは，広い意味での人工臓器は予想以上に大きな貢献をする可能性があると考え，このテーマを設定致しました．特に，従来の人工臓器の主要な役割である医療機関での治療・救命に限らず，QOLの向上・在宅でのヘルスケア等の新たな社会的要請が顕在化しています．これらの課題に対して，臨床から研究，医から工，学から産・官まで多様な専門家が結集してきている本学会には，益々の寄与が期待されています．

　以上の問題意識に立ち，本第61回大会では，特別講演3件〔補助人工心臓の歴史と展望（海外招待講演），遺伝子改変動物による臓器作成，バイオ人工膵島〕，大会特別企画4件〔人工臓器の医療経済，代謝系人工臓器の展望（海外招待講演4件を含む），脱細胞化組織の社会実装について，3Dバイオファブリケーションワークショップ〕，パネルディスカッション6件，シンポジウム2件，学会専門委員会企画11件，他学会との共同セッション3件を主要企画として設定致しました．また，一般講演（口演およびポスター）と並行して，若手医師研究者を対象とした萌芽研究ポスターセッション，人工膵臓療法ハンズオンセミナー，体外循環セミナー，ECMO・PCPS（体外循環型膜型人工肺・経皮的心肺補助法）研修コースなども実施いたします．これらの企画では，従前どおり多くの関連学協会の多大なるご協力を頂いているところであり，厚く御礼申し上げます．

　会場のホテルイースト21東京は，東京メトロ東西線の東陽町駅より徒歩約7分にあり，東京観光に好アクセスの立地ともなっております．学会内外からの多数の方々のご参加を，心よりお待ち申し上げております．

　末筆となりましたが，本大会の開催に関しまして，現在まで各界から多数のご協力を頂いておりますことに改めまして深く感謝申し上げます．

第61回日本人工臓器学会大会
大会長　酒井 康行
（東京大学 大学院工学系研究科 化学システム工学専攻）